武井壮スペシャルインタビュー

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武井 壮スペシャルインタビュー

僕は"リカバリー上手"なんです

 SNSを開けば、走り、跳び、打ち、挑み続ける姿がある。
しかし武井壮は言う。
「僕、実は"リカバリー上手"なんですよ」
 陸上で2年半のうちに日本一に登り詰めた彼は、自分の体が決して特別ではなかったと語る。
現場では「ちっちゃいヤツ」と見られていた。「競技を始めた時点で、まわりはすでに"その競技の肉体"を作ってきてる。その差を埋めるには、ただ練習量を増やすだけじゃダメなんです。壊れるから」

身体の"100%"を設計する

 大事なのは削れた身体を"100%"に戻すこと。「トレーニングで80%まで落ちたとして、翌日99.9%まで戻せても、0.1%ずつ削れていく。10日で1%、100日で10%、1年で30%以上。これがケガの正体です」
だから彼は、回復を"設計"してきた。気温・湿度・皮膚温・着用素材・空間環境。毎日6回体温を測り、内外に温湿度計を設置。心地よさを5段階で評価し、その日のパフォーマンス(50m走や垂直跳び)と照合。「脳と身体が同時に"気持ちいい状態"」を数値で見つけてきた。

『メディヒール』は「脱ぎたくない服」だった

 「素材が毎回違うと身体が混乱する。だから、肌に触れる衣類の素材の混率はコットン70%以上と決めて、ずっと一定にしてたんです」素材の混率を意図的に変えて一週間過ごしたこともある。
「リカバリーも成長も明らかに遅れました」
 そんな彼が、『メディヒール』を着て驚いた。「これ、ほんとにすごい。動いても縫い目が当たらないし、圧もかからない。僕、サーマルとか着てもちょっとでもチクッとしたら脱いじゃうんだけど、これは本当に着心地がいい。部屋でリラックスしてても、すこし動いても、負担が一切ないと思う。むしろ脱ぎたくないぐらい」
 さらに『メディヒール』の背後にある"技術と思想"にも注目する。
「生地はなめらかで心地いい、快適さの工夫を感じる。袖も適度に締まっていて、まくっても落ちてこない。これはね、画期的ですよ。肉体を使って社会を支える人たちへ、長年服をつくってきたワークマンだからこそできたプロダクト。身体に余計なストレスをかけないノウハウが詰まっている気がしますね」
 そして価格に対しても驚いた様子。
「上下で3,800円って、衝撃ですよ。他のリカバリーウエアは2万円を超えるものも多いですよね。僕は本当に良いと思ったものしか"良い"と言わないんですが、これは本音で褒めてます。めちゃくちゃ使える」

リカバリーは"脳"からはじまる

 だが、彼がもっとも大切にしているのは「脳が快適かどうか」だった。身体よりも脳の状態こそが、パフォーマンスを左右するからだ。
「湿度、気温、光、音、肌触り......全部、脳にどう響くかで回復の質が変わる。身体ばかり気にして、脳の快適さを忘れてる人が多い」

"平均値"より、自分の感覚

 「快適さは人によって違う。育った環境によって、湿度が高い方がいい人もいれば、乾燥が好きな人もいる。僕は乾燥派。湿度を10%上げただけで回復が遅れる。だから全部記録して、自分の感覚とデータをすり合わせてきた」
 武井は高校時代から"快適グラフ"を作っていた。心地よさを5段階で記録し、そのときのパフォーマンスと照合。自分にとって最適な環境を"見える化"してきた。
「どんなホテルでも、部屋に入った瞬間に"あ、湿度で空気が重いな"とか"湿度はいいけど空気がこもってる"ってわかる。だから自分で調整して、休む前に環境を整える。そういう習慣があるから、休息の質がまったく違うんです」

"ちゃんと休む"から挑戦できる

 芸能活動でも、それは活きている。
「共演する俳優がバキバキの身体だと、ちょっと対抗心が芽生える(笑)。でも俺の方がジャンプのキレあるな、とかいまだに思えるのは、自分流の"整え"で能力をキープできているから。プロのアスリートと対戦する番組でも、その成果が出ると本当にうれしい。"よくやったな"って自分に思える。努力に対する成果があるから、また続けられるんです」

一般の人でもできる、第一歩

 「寝る前と起きた後に、ちょっとだけ身体を確認するだけでいい。痛みがないか、どんな素材が気持ちいいか。そういう"気づき"が生活を変えていきます。自己流でいいんです。誰かのデータを集めた"平均"じゃなく、自分の感覚を信じて記録していけば、自分のベストコンディションが見えてくる」
 服もそうだ。部屋着に、トレーニングの合間に、寝る前に。リラックスと動きやすさの両立が「快適」であることを身体は知っている。
「根性だけじゃ体も心も折れる。ちゃんと休んで整えて、また挑む。それが僕のやり方です」

挑戦を支える、"整える習慣"

 実際、武井は52歳になった今も、100mを11秒台で走り、芸能活動にゴルフ、海外での映画出演、あらゆるステージで"動ける身体"を維持している。
「モチベーションが折れない理由?それは、やったぶんだけ成果が返ってくるからですよ」
 彼の挑戦が続くのは、偶然や根性ではない。それは、"成果がちゃんと返ってくるように設計された毎日"の積み重ねがあるからだ。
「陸上競技でもね、試合の日だけ"100%の状態"にしてもベストは出ません。普段から100%の状態で練習してこそ、試合で本当にいい記録が残せる。削れた状態でがんばっても成長しない。ちゃんとリカバリーの意識を持って前進する。これが大事なんです」
 そして最後にもう一度、彼は語る。「僕の身体がよく動くのは、才能でも根性でもない。"整える習慣"があるからなんです」
 リカバリーは、特別な人のものじゃない。日々の小さな観察と工夫。それが、未来の"動ける自分"をつくる力になる。

PROFILE

武井 壮(たけい そう)

1973年生まれ、東京都出身。十種競技・元日本王者。その後、芸能界へ。タレント・俳優として活躍するほか、「百獣の王」の異名で挑戦し続ける姿勢が共感を集める。近年はゴルフや海外での俳優活動など多方面にフィールドを拡張中。